1979年5月から毎日撮り続けている自写像「デイリーポートレイト」。約9,000枚のポラロイド写真の映像化プロジェクトと作品の今後の展開を語る。

「現在進行形(死ぬまで!)の作品」
1979年5月から毎日撮り続けている自写像「デイリーポートレイト」。制作開始から25年、四半世紀を経た本作品の映像化プロジェクトがスタートした。約9,000枚のポラロイド写真の映像化プロジェクトと作品の今後の展開を今井祝雄氏にインタビュー。
●デイリーポートレイト制作するきっかけは?
ちょうど、僕が参加していた具体美術協会が1972年に解散するわけですが、その頃から写真を使った作品、一部ビデオを使った作品をつくりはじめたんで
す。今までの作品はわりと一つのコンセプトでいろいろ構想して、集中的に作品をつくって、つくらない時はつくらないでっていう感じでやっててんけれども、
毎日ずっとつくり続ける作品もあっていいかなと。
ちょうどその頃日記をつけたいっていう願望があってね(笑)だいたい日記を買って書くと1月、2月とかはせっせと書くんやけど、5月、6月になったらぽ
つぽつ抜ける日が出てきて、8月とか秋には真っ白な日が続くんですよ。来年こそはと思って年末に高い日記を買ったら気合いが入るかなって思ってやりかける
んやけど、また同じことになってしまってね(笑)で、ちょうどそのころ、写真の作品をつくっていて、「あっ、写真を毎日写してやれば、シャッターひと押し
で済むかな」って思って。ちょうどポラロイド写真を他の作品で使っていたので、余白に日付けを書いて、前日のその写真を持って撮るということであれば、昨
日の時間と今日の時間、また今日の時間が明日へと時間の連続性がでるので半ば日記の代わりに撮りだしたのがきっかけやね。
●日記って文章が中心やないですか。撮られた写真の中に何か書くといったことはなかったんですか?
途中で裏面に3行程書いているのもあるけどね。一時期書いていたってだけで。この正月から10年日誌っていうのを書いているんやけど。
●今年で制作をはじめて27年目に入ったんですよね。
1979年5月30日からやしね。最初の一枚は胸に止めてたんやけど、手がダランとなって、何か囚人みたいやし、手に持つようになったんよね。カメラも 三脚付けてレリーズで撮ったりね。その内慣れてきてカメラを片手に、写真を持って撮れるようになってね。カメラも折畳み式だから旅行に行く時も持って行け るしね。旅先では旅館の浴衣を着ていたり、そんな一枚があったりするね。
●作品を観ていたら服装やメガネが変わっていたり、その時のちがう流れが見えてくるなぁと思ったんですが。
ヘアスタイルも変わってきているしね(笑)
●今回、本格的に映像化しようと思ったのは何でですか?
1982年に前年の1年分だけ1枚5秒くらいのビデオをつくったことがあるんやけど、それはデイリーポートレイトの写真の展示と合わせて、1年分を積み 重ねたら大晦日しか見えないので映像で見せようってことだったんで映像作品ってわけではなかったんです。で、今回25年目、四半世紀を経たのでいっぺん早 回しで観たいなと前から何となく思っていたんですが、まわりから勧められて急遽実現することになって。それと合わせて写真そのものを螺旋階段の吹き抜けで 四半世紀分積み上げて5m70㎝くらいの高さの展示をしようと思ってます。
できれば半世紀ってのもやってみたいんやけど
●今回この映像化のVTR作品を8月に神戸・夢創館で発表するんですが、今までの発表との気持ちの違いみたいなのはありますか?
今までは1年間で24㎝のアクリルの箱がどんどん増えていくというカタチで発表してきたんですが、全部を積み上げるっていうのは何となく考えていたけどね。僕もいよいよ年齢的にも来年は還暦を迎えるんで、四半世紀を経たのでひとつの区切りということですね。
●でも、これでまとめるわけではなく、ずっと続いていく中の区切り、ひとつのポイントみたいなものなんですね。
できれば半世紀ってのもやってみたいんやけど、何歳になるんやろ(笑)83歳かな?
今回やるのもその先に繋がっていくんやって感じで。作品は常に現時点で見せることでしかできないと思っているんで、絵画でもなんでもね。完成してからってばっかり思っていたら何時まで経ってもできないしね。人生なんてほとんど未完のまま終わってしまうんじゃないかな。
例えば4歳の児童画なんかは4歳の子やないと描けないんよね。すごい良い絵でも完成はしていないんですよね。また14歳やったらその歳やないと描けないしね。その状況の中で、その人のその時代の表現ができればいいかなって思います。
●VTR制作の方で若手のスタッフがメインで動いているんですが、それについては?
もう3〜4年前になるかな?大阪のスタジオ・アーカでギャラリーに全部を出して展示したいという提案があったんです。これはとても大変な作業なんやけ
ど、逆にその時にそこのギャラリーの人たちとコラボレーションというつもりでやったわけね。それ以降、僕はデイリーポートレイトを続けるだけで、発表はそ
れを面白いと思ってくれる人がいたらその人らと一緒にコラボレーションとしてやっていきたいなと。そういう意味で今回の映像作品もね「ときの重奏」ってい
うタイトルをつけているんだけど、こういうスタンスで今後どんな展開ができるのかね。僕の手を離れて・・・機会があればまた違ったカタチでやっていきたい
なと思っています。そういう意味で四半世紀以上歳の離れた若い人とやれるというのは、僕の気持ちが彼らに継承されているというので非常に嬉しいですね。
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